企業革新研究会(2024年 第2回)
2024.4.15
世話人:河合忠彦、西尾弘一
アドバイザー:平松庸一、木村裕斗
次の要領で「企業革新研究会」の本年第2回研究会を開催致しますので是非ともご参加ください。非学会員の方の参加も可能です。
日 時: 2024年5月12日(日) 15:00~16:45 (ZOOM開催)
(報告:60分、コメント・ディスカッション:45分)
報告者: 高村 静(中央大学)(60分)
テーマ: IoT時代の働き方(含テレワーク等)及びキャリアの多様性
コメンテーター: 浅野 浩美(事業創造大学院大学)
高桑健太郎 (レアソン リサーチ&コンサルティンググループ)
司会: 木村 裕斗(東洋大学)
研究会の目的・進め方等については、備考をご覧頂きたいと思いますが、本年の前半は、「企業の競争力/存続能力の強化に資するIoT/AI時代のダイバーシティ・マネジメント」という統一テーマで6回の研究会を開催致します。
参加御希望の方は学会のホームページから「5月10日までに」参加登録をしてください。登録者リストを作り、ZOOMミーティングに参加するためのURL、ID/パスワードを「前日に」BCCでお知らせします。
*なお、第3回では、「IoT/AI時代のキャリア・ダイバーシティ(仮)」という テーで浅野浩美先生(事業創造 大学院大学)にお話しいただく予定です。
参考文献
・高村静(2023) 「コロナ禍のテレワークで起きていたこと─ ワーク・ライフ・クラフティング行動に着目して─」 『キャリアデザイン研究』19, 5-18
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/cdij/list/-char/ja
・梅崎修・高村静・坂本憲一(2023)「分散型ワークにおける管理職のマネジメント行動」
『生涯学習とキャリアデザイン』 21(1) 19-29
生涯学習とキャリアデザインVol.21-1 【2023年10月 発行】 – 法政大学 (hosei.ac.jp)
・高村静・坂本憲一・梅崎修(2022)「新しい働き方としての分散型ワークとその実践例─
株式会社オカムラの事例─」キャリアデザイン研究 18 147-153
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cdij/18/0/18_147/_article/-char/ja/
・高村静監修 中央大学『知の回廊』 第142回「コロナ禍で加速したテレワーク 光と影・その展望」https://www.youtube.com/watch?v=i12w7mM05ys
・坂爪洋美・高村静(2020)『管理職の役割 (【シリーズダイバーシティ経営】)』中央経済社
・佐藤 博樹・石 恵美子・坂爪 洋美(2022)『多様な人材のマネジメント』(【シリーズダイバーシティ経営】)』中央経済社
備考
企業革新研究会 2024年前半のプログラム
企業革新研究会は、昨年度は、前半の第1回プログラムでは「日本企業の“創造性/革新性の欠如”と“現場力の低下”の“並存”の原因とその克服の方策はいかなるものか」という“統一テーマ”について、組織論(集団と創造性、個人と集団の適応・逸脱論等)、戦略的人的資源管理論と人的資本価値創造経営論、サステナブル経営論、DMC(ダイナミックマネジリアルケイパビリティ)パースペクティブなどの視点から5回の研究会を開催し、後半は、第2回プログラムとして、「トヨタとホンダはEV(とConnected cars)」ウォーズにおいてプラットフォーマー他といかに戦おうとしているのか、その勝算はどこにあるのか」という統一テーマのもとに、「EVウォーズにおけるトヨタの戦略」、「自動運転技術による新価値創造」、「EVウォーズの統合的分析枠組みとホンダのEV戦略への適用」などについて3回の研究会を開催致しました。
尚、昨年前半の第1回プログラムについてはJSMS(15-2)(近刊)でその特集が組まれ、松田千恵子先生、山﨑京子先生、木村裕斗先生の論文が掲載されます。(なお、JSMS (16-2)(来年3月刊行予定)には他の2つの論文が掲載される予定です。)また、第2回プログラムについては、その特集をJSMS (16-1)(本年9月発行予定)に掲載の予定です。
これを承けて2024年の前半は、同年の第1回プログラムとして、「企業の競争力/存続能力の強化に資するIoT/AI時代のダイバーシティ・マネジメント」という統一テーマで数回の研究会を開催致します。ダイバーシティ(・マネジメント)についての研究は、次のいずれにフォーカスするかにより、次の2つに大別されます。
A:「個人の幸福の実現」
B:「企業の競争力/存続能力の強化」
このうち、Aについては経営倫理論、社会的責任論などの分野で研究が進展していますが、Bについての研究は遅れており、「現在、多くの企業では、多様性(ダイバーシティ)が重要視されているが、それをどう経営成果に結びつけていくかについては、暗中模索である」(守島基博、日本経済新聞、2022年11月12日」)という状況にあります。
そして、その主因として考えられるのは、Aがより“普遍的な”価値に関するものであるためによりアプローチしやすかったのに対し、Bは基本的に“状況依存的”であるために、「今日の環境下で企業の競争力/存続能力の強化のためには何が必要か」、したがってまたその実現のためにはいかなるダイバーシティが求められているのか、またそれを実現するにはどうすればよいのか」という形で論理を展開しなくてはならず、それには、戦略、戦略と環境の適合性、戦略と組織の適合性、などを分析に取り込む必要があり、理論化がより困難だったことがあると考えられます。
なお、米国では、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)がダイバーシティに関する目標の一部を廃止するなど、多くの企業が「DEI(多様性、公正性=エクイティ、包括性=インクルージョン)」に関する戦略を見直しつつあるとされ、その主因の1つとして、DEIに関する目標が企業の中核的なビジネス目標とどのように関係しているかが示されていないことが指摘されていますが(日本経済新聞、2024年1月26日)これは、上述の「B」についての研究はそれ自体として重要であるのみならず、「A」の研究・実現にとっても不可欠なことを示唆しており、その意義の大きさを示すものと言えます。
また、日本でも、「副業人材相互受け入れ、日立・ソニー、AIや半導体で。多様性で技術革新」という記事がありましたが(日本経済新聞、2024年2月1日)、これなどは、「B」についての研究の必要性をストレートに示すものといえそうです。
そこで本年の前半は、以上のような視点に立つ本研究会のダイバーシティ・マネジメント研究の最初のプログラムとして、次に述べる数回の研究会を開催致します。
2024年度(前半)プログラムの概略
上述の問題意識にもとづき、IoT/AI時代にある日本企業に求められている「競争力/存続能力の強化」のポイント(P)を3点に絞り、それぞれに対するダイバーシティ・マネジメントがいかなるもの(であるべき)かについて検討することとします。
[P1] 創造性/革新性の高い多様な人材が各自の能力を十分に発揮できる組織の形成
これは、IoT/AI時代に限らず、競争力・存続能力の強化のためのもっとも基礎的な対策であり、多様な人材のそれぞれが持てる能力を十分に発揮できる組織の形成を意味します。
なお、先述の「A」(個人の幸福の実現)に関する研究と重なる部分があることに注意が必要です。
[P2] ディジタル人材の育成
これは、IoT/AI時代の競争力/存続能力の強化にとって不可欠な基礎的対策と言えるものです。
[P3] 高い「戦略の構築/転換能力」とその実現のための「資源の構築/転換能力」をもった人材の育成
これは、今日のような環境変化の大きさとその速度が速い時代に対応するための不可欠の能力の構築を意味します。
各回の研究会は以下のとおりです(予定)。
第1回:「ダイバーシティ・マネジメント研究の現況と新展開の方向性」
第2回:「IoT/AI時代の労働(含テレワーク等)及びキャリアの多様性
第3回:「IoT/AI時代のキャリア・ダイバーシティ(仮)」
第4回:「IoT/AI時代のリスキリング(特にディジタル人材)(仮)」
第5回:「IoT/AI時代の多国籍企業と国際人的資源管理におけるダイバーシティ・マネジメント」
第6回:「企業の競争力/存続能力の強化に資するIoT/AI時代のダイバーシティ・マネジメント:DMC (Dynamic Managerial Capability)の駆動因となるDRC (Dynamic Resource Capability)の視点からの提起」
なお、本年後半のプログラムは現在検討中ですが、近年、グローバルな「AIへの社会的規制」の動向と「オープンAI」におけるコーポレートガバナンスの混乱などの先端的な問題から自動車業界の「検査不正」などの古典的な問題まで、コーポ―レートガバナンス(論)と企業の社会的責任(論)の関係を問い直す必要が生じているようですので、その問題を候補の1つと考えています。「そういうテーマならぜひとも話したい」という方がおられましたら、ご相談させて頂きたいと思いますので世話人までご連絡ください。
以上