No.058 Aug 2019
TOPICS
1)第10回横幹連合コンファレンスは、2019年11月30日(土)、12月1日(日)に長岡技術科学大学( 新潟県長岡市 )にて開催されます。講演の申し込みを、受付中です。
詳細は、 開催案内のページ をご覧ください。
2)会誌「横幹」13-1号、特集1「ヘルスデータサイエンスの展開」、特集2「IoT・ビッグデータ・AI 時代の企業間連携とプラットフォーム – センシングデータ利活用の可能性と課題 -」が発行されております。
詳細は、会誌のページの案内をご覧ください。
COLUMN
第54回横幹技術フォーラム
「Society5.0時代のヘルスケア( その2 )」のご紹介
採録・構成 武田博直 ( 横幹ニュースレター編集室長、日本バーチャルリアリティ学会 )
総合司会 赤津雅晴 ( 日立製作所、横幹技術協議会 理事 )
開会あいさつ 桑原 洋 ( マクセルホールディングス名誉相談役、横幹技術協議会 会長 )
◆講演「学際研究によるゼロ次予防の可能性-暮らすだけで健康になるまちづくり」
近藤克則 ( 千葉大学予防医学センター教授、
国立長寿医療研究センター 老年学評価研究部長、
JAGES 日本老年学的評価研究機構 代表理事 )
◆討議
閉会あいさつ 北川源四郎 ( 横幹連合 会長 )
日時:2019年5月24日
会場:中央大学駿河台記念館
主催:横幹技術協議会、横幹連合
プログラム詳細のページは こちら
2019年5月24日、中央大学駿河台記念館において、第54回横幹技術フォーラム「Society5.0時代のヘルスケア( その2 )」が行なわれた。総合司会は、赤津雅晴氏( 日立製作所、横幹技術協議会理事 )が務めた。
今回の講師、近藤克則氏は、「千葉大学予防医学センター教授」「国立長寿医療研究センター 老年学評価研究部長」「JAGES 日本老年学的評価研究機構 代表理事」と多くの肩書きを有し、特に「健康に関する地域格差」の解消に長年取り組んでおられるという。2005年に出版されたその著書 『健康格差社会』は 社会政策学会賞(奨励賞)を受賞しており、また、その出版後の氏の活動については、『健康格差社会への処方箋』 (医学書院、2017年)にまとめられていることが紹介された。
近藤氏は、講演の冒頭に、政府の「高齢社会対策大綱 」という行政指針が( 2018年に )閣議決定されていることを簡潔に述べた。そして、つい最近、この大綱に基づいて 「驚くべき」政府の記者発表が行なわれたことを紹介した。政府の有識者会議では、なんと、「認知症者の70代人口における割合を 2025年までに6%、10年間で10%引き下げることを目標にする」という数値目標が計画され、政府の認知症対策の強化策として発表されたという。このように具体的な数値目標を伴った公表は、異例のことだそうだ。
その記者発表が、本技術フォーラムの つい数日前、5月16日のことだったことから、近藤氏は、会場の騒然とした雰囲気を詳しく紹介し、記者たちからの質問に触れた。発表会場の記者たちは、口々に 「1年に1%認知症の発症を引き下げる、というような計画は( これまで聞いた事もありませんが )大丈夫でしょうか?」と質問したそうだ。記者たちの懸念は尤もだが、これは実効性のある計画だそうで、そこに至るまでの研究について近藤氏は話し始めた。認知症1年1%の経緯については、少し先に改めて詳細を述べる。
近藤氏によれば、日本の医療・介護制度は、これまで 「発症した病人を、どのように治療・介護するか」という生物医学的な研究に多額の研究費が投入されてきた、という。つまり、つい20年ほど前までは 病気になった人だけを調べ、なぜそうなったか、どんな薬に治療効果があるかを調べる以外の方法が無かったそうだ。ところでこの問題を、住民の「健康寿命」を延ばすために、医療従事者や地域社会が地域住民に対して何をすれば良いか、という観点から解決方法を考えてみると、全く違った方法論が見えるという。それが、社会疫学研究からの「予防医学」による健康格差社会の解消、であるという。
平たく言えば、「そこに住んでいるだけで、転びにくく、認知症になりにくく、糖尿病になりにくい、そんな町をデザインすることができるのです」と、近藤氏は講演を始めた。
これは、耳よりな話である。科学技術基本計画によれば、サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたSociety 5.0のシステムによって、社会的課題の解決と経済発展を両立する未来社会が招来されるという。健康格差の解消というテーマは、社会的課題の解決に大きく寄与することを近藤氏は強調した。
住民の「健康寿命」というのは、氏によれば、「医療・介護に依存せず、自分の心身だけで自立した生活ができる生存期間」のことだそうだ。都道府県間で健康寿命を比べてみると、ベストとワーストで約2歳も健康寿命に違いが見られるという。( 例えば、男性のベストは 73.21歳。ワーストは 71.21歳。)
すこし後に詳しく述べるが、全国の自治体では、介護保険事業計画策定のための大規模な調査を 3年に一度必ず行なっているという。研究者が仲介して、こうした自治体の健康アンケートの回答を相互に比較してみたところ、「長生きのできる町」が見つかったそうだ。そして、その理由を社会疫学研究によって詳しく調べることで、何がその町を「住んでいるだけで健康になる町」にしているのか知ることができたという。
こうした研究を進めるために、近藤氏が代表理事を務める 「JAGES 日本老年学的評価研究機構」というNPOでは、全国の約41の市町村と共同して30万人の高齢者を対象にした調査を行い、全国の大学・国立研究所などの約40機関の研究者が、その結果に基づいて多面的な分析を進めているという。WHO( 世界保健機関 )でも、こうしたJAGES の研究は国際的に注目に値する、として、公式ホームページで「New Project Featuring Japan’s Good Practice in Research-to-Action for Healthy Ageing」(「健康寿命を増進する日本の優れたプロジェクト」)と紹介されたそうだ。
ちなみに、 JAGESでは、次の3つをその研究の目的にしているという。
(1) 社会疫学研究による「健康の社会的決定要因」の重要性を示す。 健康リスクとして、食事・運動・たばこ・飲酒などの生活習慣についてだけでなく、所得や教育歴といった 「健康の社会的決定要因」の解明が重要であることを示す。
(2) 社会経済的要因や地域間で 、「健康格差」が日本の高齢者にどの程度見られるか、その実態を明らかにする。 厚生労働省の「健康日本21」(第2次)で目標に掲げられている「健康格差の縮小」をめざして、健康格差の「見える化」や縮小のための研究に取り組む。
(3) 介護予防戦略見直しの方向性を見出す。 介護予防が重視されていることに伴い、介護予防で注目される、うつ、口腔ケア、低栄養、転倒歴や 生活習慣、閉じこもり、それらの背景にある不眠、趣味、虐待、世帯構成、地域組織への参加や社会的サポート、就労、さらにソーシャル・キャピタルなどに注目する。特に、これらの因子と社会経済的地位( Socio-economic status、SES)との関連、また、地域差に着目した分析を進める。
このうち、特に 「介護予防」については、患者の要介護認定の期間を短縮したり、全く他者の介護を必要とせずに高齢期を過ごせる場合もあるので、その経済効果は極めて大きいそうだ。同時に、「将来は介護要員が不足するので困る」という議論に対しても解決の可能性を与えるという。
ところで、そもそもの最初の JAGESのスタートは、1999年にさかのぼるそうだ。全国の自治体には 「介護保険事業計画」の策定が義務付けられており、3年に一度の大規模な調査に基づいて介護保険料が設定されるという。非常に大切な調査なのだが、市町村単位のデータを、ただ単独に眺めても その意味は判然としなかったそうだ。ところが、近藤氏らが多くの自治体からデータを集め、そのデータを相互に比較してみたところ、
例えば、「転んだ人( 高齢者で1年以内に転んだことがあると回答した人 )の割合が最も多かった地域と少なかった地域で、その割合に約4倍もの差がある。つまり、4倍 転びやすい町がある」「認知症リスクを判断する IADLという指標( 後述する )の低下を53市区町村間で比較したところ、1項目でも<できない>と回答した人の割合に 7.9~23.2%まで実に約3倍もの格差がみられる。つまり、3倍 認知症になりやすい町がある」ことなどが分かったという。
下に、厚生労働省の第47回社会保障審議会介護保険部会(2013年開催)で公示された資料の一部を転載した。( 本技術セミナーのスライドで紹介された。)本図のようなデータ比較を JAGESが行なったことで、地域間の健康格差が明らかになり、介護予防戦略の見直しが図られることになったそうだ。
これらの図の分析から得られた結論であるが、「住んでいるだけで、転びにくく、認知症になりにくく、糖尿病になりにくい」町には特徴があって、自分の住まいの近所に自由に参加できる 「介護予防サロン」、つまり、スポーツのサークルや、趣味のグループ、ボランティアのグループなどがあり、高齢者にとって出かけやすい環境が用意されていることにとても大きな効果があると分かったそうだ。また、「転びにくい」町については、 この図に示す通り、スポーツ・サークルへの参加割合との相関も顕著に見られるのだが、同時に、ゆるい傾斜が至る所にある町が、そうでない町よりも転ぶ人が少ない、という結果なども得られているそうだ。
これらは、社会疫学研究に基づく近藤氏らの20年にわたる調査の結果として明らかになったものだが、運動生理学などで個別の症例を調べても説明のつかないことが多いという。
ところで、地域の健康格差は、社会経済的な格差から生まれる場合も多いそうだ。低所得・低学歴者には( 健康を損なう食習慣が原因のためか )糖尿病になる人が極めて多いという。また、定期健診を受けない人も多いそうだ。こうした現実をふまえて、WHOでは健康格差を是正するために経済格差に目を向けることを勧告しているという。このため欧州では、社会保障による所得再配分などの方法で経済格差を是正し、それにより地域の健康格差を解消しようとする議論が盛んに行なわれているそうだ。
さて、話題を冒頭の、政府の「高齢社会対策大綱」に基づく 「認知症者の70代人口における割合を、10年間で10%引き下げることを目標にする」という記者会見に戻したい。社会疫学研究は各国で盛んに行われているが、諸外国の研究では、「認知症はhigh-income countries (高所得国)では減少している」というのが、研究の常識なのだそうだ。ところが、唯一の例外が日本であるという。
そこで、厚生労働省では、( 以前に行なった10か年計画の「生活習慣」だけに着目したキャンペーンでは逆に歩行距離が減ってしまったこと、などの反省をふまえ、)社会疫学研究の成果や、( また、これは英国での事例だが )たばこの値上げなどで糖尿病の発症を2割以上抑制して医療費も削減できた、という実績の見られたことなども勘案して、今回は「大綱」に基づく 「認知症」への施策強化を重点目標とすることに決めたそうだ。
具体的な方法だが、認知症リスクを判断するための IADLという指標があって、「買物、洗濯、掃除などの日常的な家事全般、電話をかける、外出しバスや電車などを利用し目的地まで移動する、貴重品や金銭の管理、服薬管理、趣味に係わる行動」などが 高齢者の「自立した日常生活を送ることができる能力」の判断基準になっているという。そこで、IADLが低下する傾向にある方たちを「認知症リスク」のある人、と考える。そして、この方たちの生活環境について 「認知症になりにくく、糖尿病になりにくい」町の実現を政府として推進して、70代での認知症の発症を「10年間で 1歳遅らせる」という方法であるという。
ここで、近藤氏は、会場に向かって、「横幹連合は、文理横断の学際研究の場であると伺っている。社会疫学研究から分かってきたことも多いが、まだ認知症リスクの抑制方法などには、未知の部分が多い。政府の掲げている認知症者の数を減らすという目標に寄与する研究を一緒にやりたい、という研究者の方は、是非、ご連絡頂きたい」と述べた。
ちなみに、認知症リスクを減らす 「予防効果」としては、「介護予防サロン」への参加の他にも、「定年の延長による就労」という方法に非常に顕著な効果があらわれたという。そこで、例えばだが、定年制廃止社会での認知症患者数の推計といったテーマなどに学際的なアプローチが期待できて、こうした興味深いテーマが他にも多数見つかることを氏は指摘した。
さらに、近藤氏は、ソーシャル・インパクトボンド( Social Impact Bond、SIB、成果連動型委託契約 )という事例を紹介して、企業からの聴講者に 「ヘルスケアビジネス創出支援事業」への参加を促した。
氏は、「論」に、3つのあり方があると述べた。
研究者が、実態、メカニズムを研究する 「ある論」。 そして、自治体官僚らが、仮に自らの自治体の健康寿命が著しく低ければ平均まで向上させようと考え、規範・倫理を優先させる 「べき論」。( 但し、公益性の制度化は、自らの自治体に限られる。) そして最後に、実践・対策を 「する論」である。
「する論」については、適切なインセンティブが用意できた場合には、「企業」が担うことができる、と近藤氏は述べた。なぜなら、自治体の領域を超えて、全国で健康寿命を増進できるのが 「企業」だからである。
こうした施策の背景には、コレクティブ・インパクト( Collective Impact )という考え方があり、これは、( 行政、企業、NPO、財団、有志団体などの )立場の異なる組織が、組織の壁を越えてお互いの強みを出し合い社会的課題の解決を目指すアプローチのことだそうだ。例えば、国土交通省では、「まちづくり分野におけるソーシャル・インパクト・ボンドの活用可能性調査」を実施して、「民間まちづくり」分野におけるコレクティブ・インパクト としての「ソーシャル・インパクト・ボンドの活用可能性」を検討しているという。
例えば、国から要介護者の一人あたりに支給される介護給付費は 月15.7万円という金額が決められているので、12か月の間に、もし1000人の要介護者を減らすことができれば、年間20億円近くが浮く計算になる。企業が 自分たちの強みを生かして活動して 1000人の要介護者を減らすことができれば ( 研究者がその努力を数値評価して、金額については例えばだが ) 6億円程度が企業に支払われる、というのが、 ソーシャル・インパクトボンドだそうだ。全国の介護給付費の総額は、現在約10兆円であるという。従って、565万人いる要介護者の、仮に 100万人が減ることにつながれば、「1兆円」が原資として用意できるかも知れない、と氏は述べた。
もう少し具体的に この実施方法を述べると、企業が、先ず 要介護者リスクの高くなる傾向のある人たちに 「体操」や「趣味のサロン」などの (「信頼」「絆」「ネットワーク」が生まれる )機会を用意する。( つまり、Social capitalの涵養を試みる。)住民の健康状態の改善に好ましい効果が顕著に認められた場合、企業は、投資に対する見返りを受ける。効果が小さかった場合は、見返りを受けない、ということだそうだ。こうした仕組みから、ソーシャル・インパクトボンドは、「成果連動型委託契約」と訳されているという。
興味のある企業は、是非、近藤氏までご連絡頂きたい。
氏は最後に、本日のまとめとして、高齢者の社会参加には 「要介護者を半減させ、認知症を 3割抑制する効果がある」ことを改めて強調した。
また、「暮らしているだけで健康になる」ゼロ次予防 primordial prevention というのは、WHOの勧告でもあることを指摘した。
ちなみに、パーソナル・ヘルス・レコード( PHR )のアプリで、「要支援・要介護リスク評価尺度」が開発されているそうで、いくつかの項目に Yes / Noで答えて、健康リスクを自己診断できることが紹介されている。
そして、「そこに住んでいるだけで、余所よりも転びにくく、認知症になりにくく、糖尿病になりにくい」、そういう町が現実に存在することを、氏は強調した。その運営のために必要な 「介護予防サロン」ボランティアの獲得についても、愛知県武豊町で自分たちが実際に行なって、人数が15倍に増える成果があったことも報告された。
そのボランティアたちの8割は、自分たちの「健康意識が上がった」ことや、「幸せを感じる」ことを伝えているという。このように印象的な結果を得たことを氏は述べて、その講演を終えた。
さて、質疑応答では、会場がずっと疑問に思っていた質問が最初に出された。「高所得国で減少している認知症が、どうして日本で増えているのか」という質問である。
近藤氏は、( おそらく、認知症の原因が特定されていないので断言を控えた、と筆者には推察されるのだが )糖尿病患者が増加していることと関係が深いのではないか、ということと、いずれにしても、糖尿病のリスクを下げる町づくりを行なうことが認知症にも効果があると分かっているので、介護予防の町づくりを図るべきだとの意見を述べた。
それから、今回の技術セミナーでは、経済的格差によって健康格差が生じる問題については、あまり触れられなかったのだが、近藤氏の著書『長生きできる町』(角川新書、2018年)には、いくつかの重要な事例が紹介されている。筆者からも、購読をお勧めしたい。例えば、( 英国の研究で )低体重児は糖尿病になるリスクが5倍あることや、( 日本の研究で )子供時代に貧困だった場合に高齢期の認知症リスクが高くなる、などの事例が同書には紹介されている。日本の低体重児は、生活に追われて余裕のない両親から生まれることが多いそうだ。こうした方たちが成長すると、糖尿病や心臓病で命を落とす場合が多いという。経済的格差や社会的格差と健康格差との関連については、一層の研究が求められているそうだ。
英国では2000年頃からのブレア首相の政策が功を奏し、「子供の貧困を減らすための取り組み」や「歩きたくなる町づくり」「コミュニティづくり」などの施策によって、健康寿命の地域格差を7歳から4.4歳に縮小させた成功事例があるそうだ。その人に必要なものが薬であれば薬を処方するのと同様に、必要なものが社会関係なら「処方されるべきは社会関係だ」という考え方に拠るという。
この他に会場からは、「紹介された研究には、単年度のデータによる横断研究が多かったようだが、同一の対象者を一定期間継続的に追跡した縦断追跡データによる研究については、どうか」という質問があった。社会疫学研究では、これについての 「ライフコース疫学」という分野があるそうで、例えば、胎児期や幼少期の生活習慣病が健康障害をもたらすことなどについての国内論文があり、教育・啓発が必要なことが提言されているという。このように活発な議論が会場との間で行なわれ、近藤氏は、「健康に関する地域格差」の解消につながる貴重な講演を、会場からの温かい拍手で終えた。
冒頭の開会あいさつで、桑原洋 横幹技術協議会 会長は、「Society5.0時代の ヘルスケア」は大変重要なテーマなので、何度も取り上げている。何度も通って、自らの問題として聴いて頂きたい、と述べた。
閉会あいさつで、北川源四郎 横幹連合 会長は、近藤氏から指摘された 「認知症リスクの抑制方法の研究には、文理両面からの学際的研究が重要だ」との見解に賛意を示した。そして、近藤氏、ならびに会場の活発な意見交換に謝意を述べて、地域の健康格差の解消に、なんでもない日常の「介護予防サロン」が極めて重要な役割を担っていることを印象的に示した今回の講演の幕を閉じた。