11月30日(日)10:10〜12:10 (工学部3号館4階35号講義室) 【70】日常性の再構築のメディアとしての日本型コンテンツ 〜その歴史的意義と世界への拡散〜 <講演要旨> 日本型コンテンツでは西洋のアートと異なり、作品の評価は上から与えられずボトムアップな参加型のメディアとして、平安時代の今様から、江戸期の浮世絵、絵草紙、俳諧や狂歌を経て、今日我々が四上流と呼ぶ、漫画、ライトノベル、アニメ、ゲームまでの長い歴史を持つ。この日本型コンテンツは社会の様々な場所や立ち位置からの世界観の構築・再構築のメディアとしての側面を持つ。本発表では、近年の日本型コンテンツで顕著な「日常性」へのレスペクトを一つの軸に、日常と非日常の物語の交錯する、意味の場の構築のメディアとしての日本型コンテン *出口 弘 (東京工業大学) 【71】「未熟さ」の系譜 〜枠組みの提示と応用〜 <講演要旨> 「子ども」をめぐる社会的な価値意識は、近代日本の音楽メディア文化の歴史的形成と変容のなかで、重要な役割を担ってきた。古くは大正時代の童謡創作運動や宝塚少女歌劇から、近年の初音ミクや「カワイイ」文化のグローバルな産業化や公的支援の状況に至るまで、近代日本の音楽メディア文化ついて考える際、未熟なものを愛好する文化的性格を無視することはできない。本報告では、「近代家族」と「技術の社会的構築」という概念を導入し「未熟さ」の視点から、技術革新や業界再編といったメディア変容を歴史的・系譜的に捉え返し、近代日本型のポピ *周東 美材 (東京大学) 【72】感性価値としての「かわいい」の可能性 <講演要旨> 著者は「かわいい人工物」の系統的研究を行い、その物理的属性に関して種々の知見を得た。また日本感性工学会で「かわいい感性デザイン賞」を創設し、かわいい工業製品やサービスの顕彰にも努めている。ここではこれらを概説し、感性価値としての「かわいい」の可能性を考えたい。 *大倉 典子 (芝浦工業大学) 【73】「可愛い」の思想 〜グローバル化/ローカル化の再帰的相互創出と「カワイイ」文化〜 <講演要旨> 日本古代の仏像の中でも、興福寺の阿修羅像ほど人気の高いものはない。本来戦闘の神であったものが、日本では愁いを含んだ目差しの少年の像として表現される。「可愛い」姿として表されるのである。日本文化の源流ともいうべき阿修羅の「可愛さ」には、二つの特徴が指摘できる。一つは、それが外来文化の日本的飜訳であること、もう一つは、日本における「可愛さ」が光と影を合わせ持つことである。これら二つの点から、あらためて現代の「カワイイ」文化のグローバル世界における意義を検討する。 *遠藤 薫 (学習院大学) |
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