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委員長挨拶:
第12回横幹連合コンファレンスが、来る2021年12月18日(土)、19日(日)に、筑波大学筑波キャンパスを拠点とするオンラインで開かれます。今回のコンファレンスの大会テーマを、「『横幹知』で拓くポストコロナ社会」と致しました。
新型コロナウイルス感染症は、世界各国の社会に深刻な影響を与えることになりました。
この感染が収束した暁には、元の世界にそのまま戻るだろうとは考えられません。私たちは(むしろ、前向きに)「新たに進展した社会」になる可能性を考えてみたいと思います。このコンファレンスを通して、ポストコロナ時代の新たな様々な可能性について、有意義な議論が皆さまと展開できればと思っております。
さて、今回の大会テーマを受けた特別講演としまして、永田恭介氏(筑波大学学長)に講演「トランスボーダーの先へ」をお願い致しました。
新型コロナウイルス感染症は、拡大鏡のように、地球と人類社会の多様で複雑な問題を浮き彫りにしました。こうした多様な問題の解決に資するために、科学技術は、国境、組織間の壁、年代間、ジェンダー間などに加えて学問分野の壁を乗り越えて行かなければならないでしょう。知を創造し、それを次代に継承する人材育成を担う大学の今と未来についてのご示唆を、講演から汲み取りたいと思います。
日曜日のプレナリー講演では、日本放送協会、佐藤匠氏、仁木島健一氏による「NHK新型コロナ報道におけるオープンデータの活用」をお話し頂きます。
インターネット上のオープンデータやソーシャルメディアの投稿を分析し、事件の真相や新事実を明らかにして行くジャーナリズムの手法は「OSINT」(Open Source Intelligence)と呼ばれるそうです。NHKスペシャル「新型コロナ全論文解読」やBS1スペシャル「謎の感染拡大~新型ウイルス起源を追う~」などを事例として、OSINTを活用した番組制作の事例と課題、産官学と連携する重要性についてご一緒に考えて頂きたいと思っています。具体的には、新型コロナ関連の国内外の研究論文やSNSデータの解析を行なうことで、最新の研究動向の把握やウイルス起源が検証されたということなどをお話し頂きます。
佐藤氏、仁木島氏のNHK報道における試みもまた、「ポストコロナ社会」の新たな進展を示唆するものではないでしょうか。この講演に引き続き、特別企画『産業界が考えるSociety5.0』の二つの講演を準備しております。産業界でも、コロナ禍は、デジタル化の遅れを始め、いくつもの課題を社会に顕在化させることになりました。そうした課題を抱える中での、未来社会に向けての、知の創造の取り組みについて、お話し頂きます。
先ず、「経団連の考えるSociety5.0の姿」として、経団連産業技術本部長、吉村隆氏をお招きしました。「Society5.0」の実現に向けては、産学官の分野横断的で総合的な英知や、社会のあらゆるステークホルダーからの支持と共感が求められます。ここでは「DX」「新成長戦略」などについてご提言頂きます。
また、「産業競争力懇談会の目指すSociety5.0の実現と未来社会への貢献」と題して、一般社団法人産業競争力懇談会(COCN)専務理事、五十嵐仁一氏よりお話しを頂きます。ここでは、Society5.0が実現した姿としての7つの社会像からバックキャストされた社会実装の課題を挙げ、産業界の存在意義や未来社会のシステムデザインという俯瞰的な視点から「持続可能で一人ひとりの多様な幸せが実現できる社会」についてご講演いただく予定です。
これらの企画をはじめとして、オーガナイズドセッションおよび一般セッションを予定しております。例えば、地球観測、行政課題、企業経営の分析、社会活動の分析、国民の生活行動研究などにおいて、ポストコロナ社会ではどのような変化が見られるのでしょう。その他にも、コロナの再流行防止策、大規模災害の防災や人材教育、コトつくり至宝発掘など、横幹連合コンファレンスならではの、広い範囲の学術分野がカバーされたセッション群となっています。
異分野の研究者との、より高密度なディスカッションができる機会として、多くの皆様の積極的なご参加・ご討論を心よりお待ちし、期待しております。
第12回横幹連合コンファレンス
実行委員長 ベントン・キャロライン
第12回横幹連合コンファレンスは、2021年12月18日(土)~19日(日)にオンラインにて開催されます。大会テーマは「『横幹知』で拓くポストコロナ社会」です。
社会や経済、私達の暮らしに、今世紀最大の危機のひとつとも言われるCOVID-19感染症が襲いかかっている今、そして新たな変異株の発生に直面し先行きの不透明感が漂う中、あらゆる知を総合して危機に立ち向かうことが求められています。
このコンファレンスが、「横幹知(自然科学、人文・社会科学、工学などを横断的に統合することを通して異分野の融合を促し、それにより新しい社会的価値の創出をもたらす基盤学術体系)」により、感染症や気候変動など、人類が直面する課題に対して、横断型の異分野科学の融合による新たな体系・仕組み・原理の構築を目指す一助となれば幸いです。
プログラム委員長 倉橋節也 |
現地実行委員長 伊藤 誠 |
特別講演:「トランスボーダーの先へ」
(12月18日(土) 10:50~11:50)
講師:筑波大学学長 永田 恭介氏
プレナリー講演:「NHK新型コロナ報道におけるオープンデータの活用」
(12月19日(日) 11:15~12:15)
講師:日本放送協会 佐藤 匠氏,仁木島健一氏
要旨:インターネット上のオープンデータやソーシャルメディアの投稿を分析し、事件の真相や新事実を明らかにしていくジャーナリズムの手法は「OSINT」(Open Source Intelligence)と呼ばれ、コロナ禍によって取材活動が厳しく制限される中、世界中の報道機関がその取り組みを強化している。NHKの新型コロナ報道においても、国内外の研究者たちと連携しながら、OSINTを活用した番組を複数制作してきた。本発表では、新型コロナ関連の研究論文やSNSデータを解析することで、最新の研究動向の把握やウイルス起源の検証に挑んだ、NHKスペシャル「新型コロナ全論文解読」やBS1スペシャル「謎の感染拡大~新型ウイルス起源を追う~」での事例を紹介しながら、OSINTの可能性や課題、産官学と連携する重要性について考えたい。 |
特別企画:『産業界が考えるSociety5.0」
(12月19日(日) 13:05~14:05)
「経団連の考えるSociety 5.0の姿」
講師:一般社団法人日本経済団体連合会(経団連) 産業技術本部長 吉村 隆氏
「産業競争力懇談会の目指すSociety5.0の実現と未来社会への貢献」
講師:一般社団法人産業競争力懇談会(COCN) 専務理事、実行委員長 五十嵐仁一氏