人工衛星からの地盤変動観測
概要
人工衛星に搭載された合成開口レーダを用いて地震や火山活動などの地盤変動前後の変位量を極めて精密かつ広範囲に取得できるようになった。宇宙航空研究開発機構の衛星を用いて、国土地理院では基本測量長期計画において、「高精度地盤変動測量」と位置付け、事業として実施している。
コトつくりにおける訴求点
日本においては波長の長いLバンドを用いた衛星搭載の合成開口レーダを、「ふよう」「だいち」「だいち2号」の3代にわたり開発してきた。二時期のデータの位相を用いることで、その間の地盤変動の情報が得られるため、地震や火山活動の変位量をセンチメートルレベルで測定することができる。阪神淡路大震災、東日本大震災や熊本地震では、広域の変位分布や断層の特定の成果が得られている。また、箱根噴火活動では、変動域を明らかにした。このように、さまざまな災害が発生しやすい我が国においては、必須の手段となっている。
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推薦論文
講評
JERS-1に始まり現在もなおALOS-4 PALSAR-3へと続くLバンドSARを採用した衛星観測は、その観測技術だけではなく「観測データの活用方法を含めた推進行為」によって、世界各地に「LバンドSARデータを活用した研究」を生み出し、「衛星によるリモートセンシングとその活用」というコトつくりに対して、活動の幅を広げる役割として大きく貢献したといえる。コトつくりの評価基準と照らし合わせてこれを考えた場合、Lバンドを積極的に推進し続け、様々な活用方法を見出し、それらを広めた意味力という点において、極めて高く評価することができる。
コトつくりに特に寄与した要因
- ふよう1号を皮切りとした長年にわたるLバンドSARの研究開発の継続
- LバンドSARの活用アイデアを募集・紹介するという普及促進活動
- 「LバンドSARだからこそできる分析・解析を考案し続ける」という意味継続性