AIC(赤池情報量規準)
概要
統計モデル選択のための規準Akaike Information Criterion(AIC)は、1970 年代初頭、赤池弘次博士により提唱され、情報数理の基礎概念に基づき実用性と汎用性の両方を兼ね備えた、統計学でのデータの世界とモデルの世界を結びつける新しいパラダイムを打ち立て、情報・統計科学ならびにその応用分野に多大な影響を与えた。
情報処理技術の飛躍的な発展により、過去とは比較にならない大量のデータを入手し処理することができる現在、データから知識と情報を抽出し、あるいは我々を脅かすリスクを予測し、制御することは、人類社会の生存・発展にとって非常に重要になっている。このような時代認識に立つ時、AIC とそれに基づくモデリングの方法論は、人類の至宝として、今後益々重要な役割を果たし続けることは明らかである。
コトつくりにおける訴求点
蚕糸過程の解析、セメントキルンの制御、火力発電所の制御などの実地研究を通して、情報数理の基礎概念に基づいてAIC は導出され、モデル選択という知的情報処理に共通の重要な問題に対して画期的な解答を与えた。
AIC は、モデルのデータに対する適合度とシンプルさという相反する二つの要請を同時に満たすモデル選択を可能にし,現在、数学・統計学の分野以外にも、医学・疫学、生物学、制御工学、経済学、環境学、地球物理学、社会科学などの広範な分野においてモデル選択の指針として国際的にも広く実用に供されている。
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講評
赤池情報量規準(AIC)は、統計科学に初めて「モデル選択のための評価」という概念を導出したものであり、現在の統計科学における基本概念を生み出した。コトつくりの評価基準と照らし合わせた場合、モデル選択という概念を初めて考案した先導力、その後の統計科学において基本概念化した規範力、WAICやGICをはじめとした様々な提案を誘発した意味力、実社会の様々な場面に導入された解決力など、いずれの評価基準においても高い貢献性を見出すことができる。コトつくりとして考えた場合、活動を拡大するような特段の動きは見受けられないが、考案概念の先導性の高さがコトつくりに対して大きく貢献したものと推測される。
コトつくりに特に寄与した要因
- 「モデル選択のための評価」という概念がもたらした先進性
- WAICやGICなどにみられる「様々な研究者による展開」
- 実社会での問題を契機にした開発であり、方法論が極めて実践的であった点