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【協力】
隅藏康一先生(政策研究大学院大学)
安西久美様(研究・技術計画学会事務局)
多屋秀人様(産業技術総合研究所)
横幹連合 広報・出版委員会
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■横幹連合
 ニュースレター編集室■
武田博直室長(セガ、日本バーチャルリアリティ学会)
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原 尚幸委員(東京大学、応用統計学会)

横幹連合ニュースレター

<<目次>> No.017, Apr 2009

巻頭メッセージ

活動紹介

参加学会の横顔

 
直接見えないものの重要性と、
その認知に向けて
 
*
 
会誌「横幹」編集委員会委員長
原 辰次
 
◆【講演録】
 
第18回横幹技術フォーラム
◆【参加レポート】
 
横幹連合・統数研・産総研
 合同ワークショップ
 
【横幹連合に参加している
 学会をご紹介するコーナー】
 
研究・技術計画学会

イベント紹介

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第20回横幹技術フォーラム
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巻頭メッセージ

直接見えないものの重要性と、その認知に向けて

  原 辰次 会誌「横幹」編集委員会委員長

  東京大学

 先日4月20日に開催された横幹連合総会において、木村会長は、「横幹連合の目指すところは認知されてきており、世の中の流れは横幹に追い風である。しかし、横幹連合はまだまだ力不足である」という趣旨の挨拶をされた。私も、同感である。設立される前の準備段階から、様々な形で私も横幹連合の活動に関わってきたのだが、自分の中での横幹の重要性がこれまで以上に増してはいても、力不足を感じることも多い。

 横幹連合の現在のスローガンは、「知の統合」であり、キャッチフレーズは「コトつくり」であるが、このうち特に力不足を感じているのは、「知の統合」に関する部分である。知の統合の重要性は世の中全体が感じてきており、横幹的ものの見方・考え方はその実現に不可欠であるという認識も間違ってはいないので、それは追い風になっている。しかし、その実現に向けての道のりは長く、具体性のあるアプローチもなかなか見えてこない。縦型の学会が集まっただけでは「知の統合」が実現できないだけでなく、横幹連合の会員学会の単なる集合でもその実現は非常に困難なのである。まさに横幹連合が、究極として目指すところと言えるだろう。

 一方、「コトつくり」は、木村会長が提案された「モノとコト」の対比という視点に基づいている。「モノ:対象」を中心としたいわゆる縦型研究領域と、そこに直交する「コト:機能」を中心とした分野横断的な学問領域が車の両輪のごとくに調和を持って発展することこそが、科学技術の進展に必要不可欠である。そんな認識に立ちこれを推進するのが横幹連合の活動で、これが「コトつくり」という主張である。このポイントに、「知の統合」の実現への答えもあるように思う。

 しかし、「コト:機能」といってもやはり抽象的であり、この言葉から具体的な成果は見えてこない。見えない「コト」を見える形にすることが、重要なのである。この点に横幹の、実力不足の側面の一つが示されているようだ。具体的に見えない部分に、ものの本質があるはずで、それが見える形になったとき、それまでと違った大きな飛躍が望めよう。本年12月に仙台で開催される第3回横幹連合コンファレンスのテーマが正に、「コト」を見える形にすること、「コトつくりの可視化」である。多くの論文が発表され、会員学会ならびにそこに所属される個人会員の皆様の相互連携・融合が活発に行われることを、ぜひとも期待したい。

 このような横幹の活動を根付かせて、見えない「コト」を見える形にするためには、コンファレンス、シンポジウムなどの相互連携の場での、どちらかといえば一過性の活動だけに留まることなく、アーカイブとして後世に受け継がれるものをきちんと作成して行くことが特に重要だと思われる。これが、私が2年あまり編集長を務めている学会誌「横幹」の役割であり、「コトつくり」を目指した知の蓄積として、世の中にアピールすべきものである。それを目指して、編集では、「横断的視点に立った考察・論理展開」と「知の統合に向けた概念・方法論の提案」の2点に焦点を当てている。論説やミニ特集号における解説記事などは、この方向に沿った力作が多い。しかし、原著論文の投稿がほとんどなく、ここにも力不足の一端がうかがえる。見えないものを正しく評価できる新しい軸を明確に提示して行くことも、横幹の大きな役割なのだ。

 特に近年、具体的に見える短期的な成果が求められがちで、研究の評価がその方向にシフトしすぎているように感じている。横幹連合が目指す方向は、丁度その逆で、すぐには解決が難しい社会的問題の本質を捉え、それを解決する方法論を提示して、それによってこれまでとは全く異なる世界を作って行くことに意義がある。とても、短期に達成できることではないだろう。

 しかし、世の中は、悠長に待ってはくれない。横幹連合は、立派な果実を得るためにしっかりと根を張り、幹を太くし、それから花を咲かせるというプロセスを踏んでいる。これこそが王道である。それを認めてもらうためにも、花の部分と果実そのものを、見える形でどうやって提示して行くのか。それが横幹連合の、大きな課題なのである。正にやりがいのあるチャレンジであると思うとともに、振り出しにまた戻ってきたという気もしている。皆様とともに、この大きな夢に向かって連携・協力して行ければと願っております。

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