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【協力】
武田 伸彦様(日本生体医工学会事務局)
横幹連合 広報・出版委員
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■横幹連合
 ニュースレター編集室■
武田 博直室長(セガ、日本バーチャルリアリティ学会)
高橋 正人委員(情報通信研究機構、計測自動制御学会)
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中野 悠紀委員(お茶の水女子大学)

横幹連合ニュースレター

<<目次>> No.030 Aug 2012

巻頭メッセージ

活動紹介

参加学会の横顔

 
「横幹連合会員の相互理解への期待」
*
横幹連合理事
日本大学 教授
青木 和夫
 
 第34回横幹技術フォーラム
 
【横幹連合に参加している
 学会をご紹介するコーナー】
 
日本生体医工学会

イベント紹介

ご意見はこちらへ

 
 
「横幹連合定時総会」
これまでのイベント開催記録
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巻頭メッセージ

横幹連合会員の相互理解への期待

  青木 和夫 横幹連合理事

日本大学 教授

  横幹連合の第4回総合シンポジウムが、11月1〜2日に日本大学生産工学部で開催されます。私は、プログラム委員長として、日程やプログラムの調整にあたっております。今回のシンポジウムのメインテーマは、「横幹技術と日本再生」で、昨年の東日本大震災からの復興を念頭に置いたテーマとなっています。会員学会の皆様の、多数の参加をお待ちいたしております。
  さて、私こと、本年6月より一般社団法人日本人間工学会の理事長に就任いたしました。日本人間工学会は横幹連合の会員学会のひとつとして活動に参加させていただいておりますが、人間工学はそもそもが学際的であり、多くの学問領域が関与しています。そのため、既存の学問分野の域を超えた横断的な視点を持っているという意味で、横幹連合の考え方にきわめて近い実態をもっている学会であると考えています。
  人間工学の歴史をみると、一つの流れは英国のErgonomicsで、これは一言でいえば、労働科学的なものであります。人間が働く場合に、どのくらいの力が出せるか、どのくらい働くと疲労するかといった研究が行われ、労働者の健康を守ると同時に生産性を上げることも念頭に置かれていました。つまり、労働者の健康という医学的な側面と、生産性という管理工学的な側面の両者が同時に検討され、これらの調和という難しい問題に対面してきたわけです。
  もう一つの流れは、米国におけるHuman Factors であり、これはシステムにおける人的な要因を中心課題としてきたものです。特に、大規模なシステムで事故が発生すると、その原因として人間のミス(ヒューマンエラー)が問題とされてきました。そのため、人間がミスを犯すメカニズムと、それを防ぐための様々な方法が研究されてきたのです。ここでは、システム科学と、人間の判断や行動を研究する心理学の視点が、必要とされてきました。
  このように、人間工学は、歴史的には異なる視点から別々に発展をしてきたのですが、現在ではこの両者が一緒になり、人間の健康と安全のためにどのようなシステムが必要かを検討しています。その基本的な理念は、「横幹」第5巻第1号に紹介させていただきましたが、「人間を中心とした」システムの設計ということにあります。人間を中心とした、という意味は、人間の特性に合ったという意味であり、そのためには人間の特性、つまり、人間の身体的・心理的な特性や、行動の特性など、人間に関係するあらゆることが研究対象となります。また、その知識を、実際のものづくりやシステムづくりに応用してゆくことを意味しています。人間工学は、そのために様々な分野の研究者や実践者を包含しており、極めて幅が広く、その全体像を把握することも、なかなか困難であるという一面があります。しかし、どのような場面においても、「人間が中心である」ということが人間工学に関わる者の共通の認識であり、これが人間工学という学問の統一性が保たれている理由ではないかと思っております。
  さて、横幹連合の一員としてみると、参加している会員学会の幅の広さや領域の多様さについては、よく理解できるのですが、横幹連合会員の共通の認識が何であるのかが、あまり明確でない感があります。もともと異なる学問分野同士がお互いを理解することは難しくて当然であるとは思いますが、相互に理解を深める手段が何か講じられる必要もあるのではないでしょうか。例えば、日本人間工学会では、グッドプラクティス・データベースという名称で、人間工学を用いて使いやすい物やシステムを設計した例や、疲労を少なくする作業システムの改善の事例などを収集して、ホームページ上に公開しています。このデータベースを見ていただければ、人間工学が具体的にどのような場面で用いられているのかがわかり、異なる研究分野の学会員にも、人間工学のさまざまな側面を理解してもらえると思います。さらに専門外や一般の方にも直感的に理解してもらえることから、人間工学を世の中に広く理解してもらうために役立っていると考えています。
  横幹連合でも、このような成功事例を示して行くことによって、会員学会相互の理解を深めることができるのではないか、と考えている次第です。

 

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