【協力】 横幹連合 広報・出版委員会 * * * ■横幹連合 ニュースレター編集室■ 武田 博直室長(VRコンサルタント、日本バーチャルリアリティ学会) 高橋 正人委員(情報通信研究機構、計測自動制御学会) 小山 慎哉委員(函館工業高等専門学校、日本バーチャルリアリティ学会) 中田 亨委員(産業技術総合研究所、ヒューマンインタフェース学会) 河村 隆委員(信州大学、日本ロボット学会) ■ウェブ頁レイアウト■ 中野 悠紀委員(お茶の水女子大学) |
横幹連合ニュースレター
<<目次>> No.035 Nov 2013 |
||
巻頭メッセージ |
活動紹介 |
参加学会の横顔 |
第5回横幹連合コンファレンス-瀬戸内の風を感じるエクスカーション-によせて * 香川大学大学院地域マネジメント研究科教授・研究科長 第5回横幹連合コンファレンス実行委員長 板倉 宏昭 |
第38回横幹技術フォーラム |
◆【横幹連合10周年企画】 「参加学会の横顔」掲載頁一覧 |
イベント紹介 |
ご意見はこちらへ |
|
◆2013年度 第5回横幹連合コンファレンス ◆これまでのイベント開催記録 |
ニュースレターへの ご意見・ご感想を お聞かせください。 * E-mail: |
巻頭メッセージ
第5回横幹連合コンファレンス-瀬戸内の風を感じるエクスカーション-によせて
第5回横幹連合コンファレンス実行委員長 板倉 宏昭
香川大学大学院地域マネジメント研究科教授・研究科長
1 ご挨拶
第5回横幹連合コンファレンスは、横幹連合の設立10周年にあたる記念すべき大会を、香川大学において、12月21日(土)から23日(月・祝)にわたって開催させて頂くこととなりました。10周年の記念行事として、吉川弘之名誉会長による記念講演や、各学会の会長セッションなども計画しております。「『異分野の新結合と知の創造』 〜うどん県発・地域ブランド創造による地域活性化〜」のテーマのもと、日本一小さい香川県で、異分野の融合から新しい知の創造がはかれるような大会になればと思い、準備を進めております。
今回のコンファレンスでは、22日(日)と23日(月・祝)に、2つのエクスカーションを計画しました。
12月22日(日)は、香川の地域ブランドの代表である讃岐うどんの手打ちを体験していただく「うどん打ち体験コース」を、12月23日(月・祝)は、瀬戸内海の直島を訪れる「直島コース」を準備しております。
瀬戸内海国立公園は、、昭和9年(1934年)3月16日に国立公園指定され、2014年に80周年を迎えます。
瀬戸内の島々を舞台に3年に1度開催されるトリエンナーレである「瀬戸内国際芸術祭2013 アートと島を巡る瀬戸内海の四季」は、2013年の第2回を高い国際的な評価とともに終了しました。現代アートの制作、運営、鑑賞のために島をめぐる必要のあるこのユニークな芸術祭は、訪れる人々に、あたかもその訪れる行為そのものが瀬戸内圏をキャンバスに旅図を描いているかのような、非日常的な感覚を味わわせてくれます。観光には海路や陸路の移動を伴い、アート作品はしばしば屋外に設置されています。雨の少ない温暖な気候と波の穏やかな美しい海は、予定通りの観光や鑑賞を楽しんでもらうために極めて都合が良くなっています。瀬戸内地域の資源ともいえる地理的条件も、またアートを構成する一部となっているこのプロジェクトは、その独自性で他地域の模倣を困難にして、国内外のアート愛好家や観光客を惹きつける、地域密着でありながらグローバルなビジネスです。瀬戸内海の島々のネットワークが、島単体ではできない大きなプロジェクトにつながりました。
直島はその中心的な場所となりました。瀬戸内国際芸術祭の会期は終了しておりますが、瀬戸内海の島々を舞台に繰り広げられる現代アートが、まさに地域ブランドとなった地域活性化の成功例を視察いたします。
2 うどん打ち体験コース
高松市内の中野うどん学校にて、プロの職人が本場さぬきの手打ちうどんの作り方を伝授してくれます。
粉を練るところから始まって、麺棒でのばし、茹でて食べるまで、40 分〜60 分です。作った後は実際に試食していただきます。無事終了したのちには、卒業証書が発行されます。
  |
うどん打ち体験 |
3 直島コース
直島は、瀬戸内海の香川県高松市の北約13kmに位置する自然の美しい島です。直島町は、農業の不振による財政難から1916年に三菱合資会社(現、三菱マテリアル)の銅精錬所を受け入れる決定をし、企業城下町として発展してきました。1955年頃は香川県一裕福な自治体であり、補助金を受けなくても成りたつほど豊かでした。しかし、1970年代に合理化が進んで従業員数が減少していき、新たな産業振興に対する危機感が高まりました。
1959年から9期36年間にわたって直島町長を務めた故三宅親連(みやけちかつぐ)は、漁業、三菱マテリアルによる金属の精錬、レジャーを島の産業の三本の柱に据え、一次産業、二次産業、三次産業のバランスのとれた開発を目指しました。その結果、島の北部はハマチの養殖で知られる漁業と三菱マテリアル精錬工場、中心部は住宅地、南部は美術館や海の家などのレジャー地というように、ゾーニングのはっきりとした発展に成功しています。
直島のアートの特徴として、白い壁に絵画を飾っていくいわゆる「ホワイトキューブ(white cube)」の美術館ではなく、せっかく島を訪れる人々のためにそこにしかないアート、「サイト・スペシフィック・アート (site specific art)」を提供している点が挙げられます。瀬戸内国際芸術祭の終了後も、数多くの美術館やアート作品、建築物があり、直島でしか見られないプロジェクトや建築は国内外からの注目も集めています。
今回のエクスカーション「直島コース」では、本村の無人の古民家を買い上げて保存・再生し現代美術のインスタレーションの恒久展示場とした「家プロジェクト」、福武總一郎氏による「直島南部を人と文化を育てるエリアとして創生」するための「直島文化村構想」に基づき「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに、美術館とホテルが一体となった「ベネッセハウス」などを見学します。
  |
ベネッセハウス |
4 最後に
アーティストの宮島達男氏は、家プロジェクト第1弾の「角屋(かどや)」を創るに当たって町民125人を公募し、作品を構成する125個のディジタル・カウンターの明滅速度を一人一人にセッティングしてもらい、地域住民参加という手法を取ることで、現代アートという異質なものが保守的な土地に入って来ることに対する町民の反感、抵抗を払拭し、島ぐるみの作品作りを実現しました。これは、アートによる地域活性化が地元に受け入れられ、瀬戸内国際芸術祭が大成功した要因の一つであると考えられます。
  |
家プロジェクト |
総務省は、2013年1月28日に2012年の「住民基本台帳人口移動報告」で香川県が転入超過に転じたと公表しました。転入者数が転出者数を上回ったのは、1996年以来16年ぶりです。47都道府県のうち36道府県が転出超過となり、大都市に人口が集中する傾向が続く中での躍進は、ひときわ目を引くニュースとなりました。災害が少なく気候が穏やかなことから、瀬戸内海の島しょ部を中心に主に若い世代の移住先として人気を集めているものとみられます 。
今回のエクスカーションでは、瀬戸内海の島々を舞台に繰り広げられる現代アートが、まさに地域ブランドとなった現場を共に訪れ、地域活性化の取組みとその成果について、意見交換したいと思います。大勢の皆様のご参加をお待ちしております。