横断型基幹科学技術研究団体連合
Transdisciplinary Federation of Science and Technology
【ホームに戻る】
【前の号へ】
★最新号です★
【横幹連合ニュースレター編集室】
武田博直室長(セガ、日本バーチャルリアリティ学会)
大倉典子委員(芝浦工大、日本バーチャルリアリティ学会)
高橋正人委員(情報通信研究機構、計測自動制御学会)
【協力】
五十嵐 保先生(RESTEC、日本リモートセンシング学会)
横幹連合事業・広報・出版委員会広報WG
横幹連合 NEWS LETTER
<< 目 次 >> No.005, March 2006





産業界と連携した
実問題の解決

横幹連合 鈴木久敏 理事
第9回横幹技術フォーラム「リスク環境下での事業意思決定技術」参加報告
※参加者によるレポートです!
横幹連合に参加する学会をご紹介するコーナーです
日本植物工場学会
日本リモートセンシング学会






第10回横幹技術フォーラム(2006.3.30)
第2回技術シンポジウム(2006.4.17)
横幹連合2006年度総会・講演会(2006.4.24)
これまでのイベント情報

ニューズレターへの
ご意見・ご感想は
電子メールでどうぞ!

◆巻頭メッセージ
「産業界と連携した実問題の解決」
横幹連合 理事  鈴木久敏(筑波大学)

大学の研究者の関心は、長らく、自己の知的好奇心に基づくテーマを深く研究し、学問の発展に繋がる成果を出すことであった。すなわち、内発的動機に基づく自由な研究こそが、唯一無二の研究価値であった。しかし近年、その価値観は、「大学は金ばかり使って世界に誇るべき十分な成果を挙げていないではないか。そんな大学になぜ国民の税金をつぎ込む必要があるのか?」という社会からの批判に晒されている。そのような声が、国立大学法人化を後押しする力として働いたことも事実である。もっと「社会の声を聞け」というお叱りであろう。これからの大学研究者は、自由な発想に基づく研究と、社会に役立つ研究という2つの流れの調和を、自ら図ることを求められている。

横幹技術を産業界の側から振興する組織に、会員企業から構成される横幹技術協議会がある。横幹連合から見た横幹技術協議会との協力関係は、主に(1) 横幹連合への財政的支援、(2) 横幹技術フォーラムの共催など横幹技術の普及活動、(3) 産業界と連携した実問題の解決、の3点である。最後の(3)の一つとして、横幹技術協議会の会員企業が直面した実問題を、横幹連合に集う異分野の学会・大学研究者が結集したプロジェクトチームで研究し、横幹的な課題解決を与える「課題プロジェクト」がある。横幹連合としては、このプロジェクトを進めることで、横幹技術がまさに実問題解決に有効で、産業界のニーズにも応え得ることを示し、社会に横幹技術の価値をアピールすることができる。学会・大学研究者にとっては、実問題を扱うことが自らの守備範囲を広げることに加え、学問成果を社会に還元しつつ、更には自由な発想に基づく研究に必要な研究資金を獲得できるという副次的なメリットもある。企業側にとっても、社内の研究部門だけでは到底解決し得ないような困難なテーマにも、横幹連合に集う異分野の「最高知」が総動員されれば課題の解決に繋げることができるだろう。いわば「一石三鳥」を狙った仕組みである。

具体的には、横幹連合と横幹技術協議会との共管組織であるプロジェクト委員会が、会員企業から提案される課題プロジェクトの原案を聴取し、横幹技術の観点から提案できる解決の方向性を示すとともに、実際に課題解決の任に当たる研究チームを編成している。そして、最終的に研究チームが当該企業との共同研究を受託し、共同研究契約・秘密保持契約を結ぶまでの一連の立ち上げ段階を、この委員会が舘_委員長の下でサポートしてきた。筆者もプロジェクト委員会のメンバーとして当初の段階から関わり、昨年秋からは舘委員長の辞任を受けて委員長代理として課題プロジェクトの推進に当たっている。これまで企業から4件の課題が提示され、内3件については研究チームが編成されて、共同研究が現在進行中である。もう1件の新たな課題も、近い内に提案される予定である。研究チームの編成に当たっては、横幹的な発想での課題解決を狙うため、異なる専門分野、異なる学会、異なる大学の研究者を結集するように心掛けている。このように、実問題を異分野の研究者が共同で扱うことで、横幹連合に集う様々な分野の「知の統合」が促進され、横幹技術の振興と普及が図られることが一層期待される。



●記事に関するご意見等は、事務局( )へお願いします。
無断転載を禁じます。(C) 横断型基幹科学技術団体連合all rights reserved.